伝統的な和食の技法を守りながら、素材の個性を生かしたシンプルな独自の調理法を展開し、いまや予約の取りにくい店のひとつに挙げられる「分とく山」。2007年に初めてミシュランガイド東京が刊行されて以来、掲載が続く日本料理の名店です。
今回のインタビューでは、20年以上「分とく山」で料理の腕をふるっている料理長の岡田様に取材しました。
伝統的な和食の技法を守りながら、素材の個性を生かしたシンプルな独自の調理法を展開し、いまや予約の取りにくい店のひとつに挙げられる「分とく山」。2007年に初めてミシュランガイド東京が刊行されて以来、掲載が続く日本料理の名店です。
今回のインタビューでは、20年以上「分とく山」で料理の腕をふるっている料理長の岡田様に取材しました。
【プロフィール】
岡田良一
東京都出身
2005年服部栄養専門学校を卒業。
その後「分とく山」にて修行を重ね、2023年に本店料理長に就任。
-お店のコンセプトを教えてください。
日本料理としての基本は外さずに、一方で新しい考え方や調理法は積極的に取り入れるようにしています。よく新しい日本料理と言われることがありますが、日本料理としての土台は忠実に守っています。
またお店の特徴として、予約やホール業務、ドリンクのサーブなどの厨房作業以外も、板前が全て行っています。独立を目指して働いているスタッフも多いのですが、独立した最初は基本1人で全てをこなす必要があるため、分とく山でも全てやってもらうようにしています。
板前がお客様と直接コミュニケーションが取れると、料理の説明もスムーズにできますし、お酒の味わいや背景のストーリーを明確に伝えることもできます。
座席は、カウンター、テーブル席に加えて、完全個室も完備
-日本酒はどういったものを提供されていますか?
レギュラーメニューはありますが、リストにあるもの以外にもお酒を仕入れることがあります。リピーターの方も多くいらっしゃるので、毎回楽しんでいただくためにも、その日の料理に合わせた特別なお酒を提案したり、提供方法を変化させたりと工夫をこらしています。
第一には、お客様の様子をみてお酒を提案することが重要だと考えています。例えば、たくさんお酒を召し上がるお客様なら料理のたびに違うお酒を提案してみたり、あまり量を飲まれないお客様にはさまざまな料理に幅広くマッチするお酒を提案してみたりなど、お客様の様子を見極めて最適な提案になることを心がけています。
具体的な提供方法の工夫で言えば、酒器を変えることもありますね。酒器によって日本酒の味わいや感じ方は変化するので、お料理やお酒に合わせた酒器の提案は、お客様に喜んでもらえることも多いです。
また、甘い日本酒にすだちを入れてハイボールのようにしたり、わさびを入れて提供してみたりとちょっと変わったアレンジにも挑戦しています。既存の日本酒の枠に囚われない楽しみ方で、お客様にご満足いただけるよう日々試行錯誤しています。
-HINEMOSを知ったきっかけはなんですか?
従業員と、流行りの飲食店を実際に訪問して勉強する、ということを定期的にやっているのですが、中目黒の飲食店に行く途中にたまたまHINEMOSの店舗の前を通りかかりました。外観が綺麗な酒屋だな、と気になって入ったことが最初のきっかけです。
お店では試飲もできるとのことだったので、実際に飲んでみるとどれもはっきりとコンセプトが違うお酒で味わいも異なり、これだけの種類のお酒を1つの酒蔵で作り出しているのか、と驚いたことを覚えています。
また、ボトルのデザインが洗練されていたことも印象的でした。分とく山はカウンターメインのお店のため、HINEMOSがカウンターに並ぶと綺麗なんじゃないか、という想像もできました。
中目黒にあるHINEMOS初の直営店。中目黒駅から徒歩10秒の立地にあります。
-お客様へはHINEMOSをどのように勧めていただいてますか?
メニュー表をポップとして置いています。HINEMOSがとても目立つデザインでコンセプトもユニークなため、ポップを置くだけでお客様に目を止めていただき、そこから会話が生まれご注文いただくことがあります。
また、お客様からもおすすめはなんですか、と尋ねられることもありますが、その際にもHINEMOSは時間のコンセプトでお酒を作っていることや、一つの酒蔵で作っているお酒なのに銘柄ごとに味わいがはっきりと違う、などなどさまざまな話ができるので、盛り上がる話題を作りやすいです。
お客様の層も流行に敏感な方が多いので、こういった新しいお酒に興味を持つ人も多いですね。定番の出し方で言えば、最初にスパークリングのROKUJI(6時)から始まって、食中酒として純米大吟醸のKUJI(9時)、杉の香りを楽しめる樽酒であるSANJI(3時)、箸休めや食後酒として貴醸酒のJUJI(10時)と料理のストーリーに沿って飲んでいただくことが多いです。
和食は味わいが繊細な料理も多いので、料理ごとにぴったりな銘柄を提案することを心がけていますが、HINEMOSは味のバリエーションが豊かで、かつ料理のシーンごとにマッチする酒質で造られているため、とてもお勧めしやすいです。
実際に分とく山様に置いていただいているポップ
-特に、HINEMOSとペアリングするとおすすめの料理はありますか?
分とく山の名物料理に「鮑の磯焼き」があります。肉厚の鮑に肝ソースをたっぷりと絡め、海苔と一緒に召し上がっていただく、磯の香りを存分に味わえる自慢の逸品です。
海苔は、通常は板海苔にするような上質な海苔をあえて板海苔にせず、重なったまま乾燥させたものを使用しています。この海苔は、噛んだ時に磯の風味が爆発的に広がるのですが、これとKUJI(9時)の相性がとても良いです。
海苔と鮑の肝のパンチある香りに負けるような日本酒ではいけないし、かといって味わいで主張しすぎてもいけない。そのバランスがKUJIは絶妙です。口中で磯の香りを存分に楽しんだ後に、クッと余韻を整えてくれるクリアな味わいで、次々と箸を進めたくなるお供にふさわしい日本酒です。
名物の鮑の磯焼きは、その時代に合わせて今でも味を変化させているとのこと。
-HINEMOSをお客様にご案内しやすい理由はありますか?
大瓶だけでなく、小瓶を用意してくれることが魅力的です。通常は小さくても四合瓶が多いですが、どうしてもお客様が毎回飲み切るわけには行きません。HINEMOSの場合は170mlの小瓶があり、未開封の確実にフレッシュな状態で提供できることが非常に便利です。
また、瓶のデザイン自体がとてもおしゃれなので、カウンターにそのまま出しても違和感なく、料理と一緒に写真をとっているお客様もいらっしゃいますね。
その他にも、銘柄名がそのまま「時間」になっているので、例えば6時に予約いただいたお客様に「ROKUJI(6時)飲んでみますか?」というような、カジュアルなご案内もしやすいです。コンセプトの面白さがそのまま案内のしやすさに繋がっていると思います。
-最後にHINEMOSに⼀⾔、期待することをお願いいたします。
最近は海外の人も少しずつ増えてきているのですが、海外の人はご出身にもよりますが、ドライなエッジのあるお酒を楽しみたい方もいらっしゃいます。味はドライであっても、フルーティーな香りがあるだけで「甘いお酒」と言われてしまうことがあり、香りをあえて抑えた日本酒があっても面白いと思います。
これだけ既存の枠に囚われず、多くの味わいを造っているHINEMOSだからこそ造れるお酒があると思うので、12銘柄の他にもどんどんと新しいお酒にチャレンジしていってほしいです!